波板とは、名前のとおり、波打った形状をしている屋根材のことです。平らな板よりも強度が高く、かつ雨が流れやすい構造になっていることから、主にカーポートや駐輪場、簡易物置の屋根として採用されています。
波板屋根は経年劣化するので、ある程度の年数が経過したら交換が必要ですが、波板には複数の種類があるので商品を選ぶ際は注意しましょう。
今回は波板屋根の主な種類とその特徴や、波板屋根を交換すべきタイミング、交換の手順について解説します。
目次
5種類の波板屋根の特徴を紹介
波板屋根は、使われている素材によって主に5つの種類に分類されます。
ここでは5種類それぞれの特徴についてまとめました。
塩化ビニール波板屋根
ポリ塩化ビニール(PVC)を素材とした波板屋根です。PVCは、石油を原料とする合成樹脂で、加工しやすいこと、安価で大量に生産できることなどから、DIY初心者でも扱いやすい素材と言えます。
その一方で、紫外線や熱の影響を受けやすく、耐久性もさほど高くないため、数年経つと劣化が始まってくるところが難点です。なお、劣化が進むと表面がだんだん白く変色し、やがてヒビや割れが生じるので、早めのメンテナンスが必要です。
ガラスネット波板屋根
前述した塩化ビニール波板に、ガラス繊維ネットを挟んだものです。ガラス繊維とは、名前のとおりガラスでできた糸や綿のことで、極細のガラス繊維を束ねて加工したネットは引っ張り強度の強さや耐熱性、耐薬品性を備えています。
通常の塩化ビニール波板よりも耐久性が高く、長持ちするところが特徴ですが、そのぶん加工性が低下しており、DIY初心者には扱いにくいタイプと言われています。
ポリカーボネート波板屋根
熱可塑性樹脂の一種であるポリカーボネート樹脂を使ったプラスチック製の屋根です。耐衝撃性・耐久性・耐候性・耐熱性に優れていることから、屋根や看板などさまざまな屋外設備に活用されています。
また、適切に加工処理されたポリカーボネート樹脂は、紫外線に強い性質を持ちながら透明度が高い点も特徴で、屋根に使用しても視界が遮られないところもメリットです。
ただし、ポリカーボネート製の波板には表裏があり、誤って施工した場合、本来の性能を十分に発揮できないため、もしDIY初心者が取り扱う際には注意が必要です。
トタン波板屋根
亜鉛メッキ鋼板であるトタンを使用した金属製の波板です。軽量で施工しやすい性質を持っていることから、DIY初心者でも扱いやすく、後述するガルバリウムが出てくるまでは金属製屋根の主流となっていました。
金属ならではの比較的優れた耐衝撃性や、安価なところも利点です。一方で、他の屋根材と比べると耐久性が低く、メッキが剥がれてサビが発生することがあるところがネックです。
定期的にメンテナンスしないと短期間で劣化が進むため、手間を掛けずに長持ちさせたい方には不向きかもしれません。
ガルバリウム波板屋根
1970年代にアメリカで開発されたガルバリウム鋼板を使用した波板屋根です。トタンは金属鋼板に亜鉛のみをメッキしたものですが、ガルバリウムはさらにアルミニウムやシリコンも使用しているところが特徴で、金属でありながらサビにくいという特徴があります。
また、軽量であることから建物への負荷が少なく遮熱性も高いため、カーポートや駐輪場、ベランダ、テラスなどさまざまな場面で利用されています。
一方で、トタンに比べるとコストが割高になってしまうこと、光を通さないのでベランダやテラスに使用すると洗濯物が乾きにくくなることなどが主なデメリットです。
波板屋根を交換すべきタイミング
波板屋根は時間が経過すると劣化が進んでくるため、ヒビや割れが入る前に交換が必要になります。交換すべきタイミングは波板屋根の素材によって異なり、例えば最も耐久性の低い塩化ビニール波板の場合、2~3年程度で交換が必要になることもあります。
ガラスネット波板は塩化ビニールよりは長持ちしますが、4~5年経過すると劣化が始まるので、交換を考えた方がよいでしょう。
次いで耐用年数が短いのはトタン波板で、5~7年が経過するとサビが目立ち始めます。腐食が進むとさらに耐久性が落ちるので、新品への交換が必要です。
一方、現在の波板屋根の主流であるポリカーボネート波板の耐用年数は約10年、ガルバリウム波板は15~20年と長いため、メンテナンスは比較的楽になります。
ただ、使用環境によっては平均耐用年数よりも短い年数で劣化が始まることもあるので、定期的に波板屋根の状態をチェックし、劣化具合を確認することが大切です。
波板屋根の主な劣化症状には以下のようなものがあります。
波板の破損
波板が劣化すると、亀裂や割れ、穴あきなどの破損が生じやすくなります。こうした破損は、小さなものでも雨漏りや風の吹き込みなどの原因となり、屋根の下にあるもの(車や洗濯物など)が濡れたり、汚れたりするリスクが高くなります。
波板の変色
波板が長期間にわたって紫外線や雨にさらされると、色があせたり、白く変色したりしてきます。見た目が悪くなるのはもちろん、変色は耐候性が低下しているサインでもあるため、波板屋根の下にあるものも紫外線の影響を受けやすくなります。
波板の腐食
経年劣化の影響で波板が腐食し始めると、表面にサビが生じてきます。サビが生じると見た目が悪くなる他、そのまま放置していると腐食が進んで波板がボロボロになり、破損や落下の原因となることもあります。
上記のような症状が見られたら、耐用年数にかかわらず波板屋根の交換を検討しましょう。
波板屋根を交換する手順
波板屋根をDIYで交換する際の基本的な手順をまとめました。
道具を準備する
波板屋根の交換には、以下の材料や道具が必要になります。
- 交換用の波板
- 波板はさみ(ガルバリウムの場合は電動ノコギリ)
- メジャー
- ものさし
- 留め具
- 錐(板金の場合は電動ドリル)
- 脚立
- 油性ペン
- 金づち
- バール(釘抜き用)
波板はさみとは、その名の通り、波板をカットするために使用する専用のはさみのことです。一般的な波板はさみは板に合わせて刃が波状になっており、波板を潰さずにカットできるところが特徴です。塩化ビニールからポリカーボネートなど幅広い素材をカットできるので、大抵の波板なら手軽に加工できます。
ただし、ガルバリウム波板は他の素材に比べて硬いので、手動の波板はさみよりも電動ノコギリを使用した方がよいでしょう。
留め具の一つである傘釘とは、頭の部分が傘のような形になっている釘のことで、他の釘よりも抜けにくい仕様になっています。傘釘にはいろいろな素材がありますが、波板の素材と同じものを選ぶのが一般的です。例えばポリカーボネート波板屋根を取り付けるのなら、ポリカーボネート連結傘釘を用意します。
錐(キリ)は波板にフックを取り付けるときに使用しますが、トタンやガルバリウムなどの板金は硬いので、電動ドリルを用意しましょう。
既存の波板屋根を撤去する
既存の波板屋根を固定している留め具をバールで緩め、波板を撤去します。ポリカフックが使用されている場合は、留め具の上部を手でひねりながら回すと外せます。フックボルトにナット・座金(ざがね)・パッキンなどが組み込まれているフックボルトセットが使用されている場合は、レンチを使ってネジ部のナットを緩め、フックボルトを回転させると外すことが可能です。
下地を掃除する
波板を外したら、下地の溝に詰まったゴミを取り除きます。ゴミが詰まっていると見た目が悪くなったり、余分な隙間ができたりしやすいので、丁寧に清掃しておきましょう。
交換用の波板をカットする
下地のサイズを基に、交換用の波板を波板はさみでカットしていきます。なお、波板は6尺~10尺までの規格サイズがありますが、幅は655mmで固定で、長さは以下のようになっています。
尺 | 長さ |
---|---|
6尺 | 1,820mm |
7尺 | 2,120mm |
8尺 | 2,420mm |
9尺 | 2,730mm |
10尺 | 3,030mm |
基本的には、必要な長さよりも1つ上の尺の波板を購入し、余分をカットすることになります。
必要な長さをメジャーで測ったら、油性ペンとものさしを使って印を付け、波板はさみでカットしていきましょう。
切り口が斜めになったり、ガタガタになったりすると外観が悪くなるだけでなく、風や雨の影響を受けやすくなるので、真っ直ぐカットすることが大切です。
なお、波板の切り口は鋭利なので、軍手などを着用した上で、慎重に作業することを心掛けましょう。
交換用波板を下地にはめ込む
カットした交換用の波板を既存の下地にはめ込みます。風圧や雪害防止のため、下地にはめ込む位置は軒先の出幅に注意しましょう。一般的な地域なら100mm以下、強風地域では50mm以下になるよう設置するのがポイントです。
出幅が大きすぎると、風の影響を強く受けたり、積もった雪の重みで波板が折れたりする可能性があるので要注意です。
また、波板を2枚以上使う場合は、隣り合う波板同士が2.5山以上重なるようにします。重ね部分が浅いと、風や雨、雪などの影響で波板が破損するおそれがあるので注意しましょう。
なお、波板を縦に重ねる場合は、下部になる部材の上に上部の部材がかぶさるように設置します。重ね方を逆にすると、重ねた部分から浸水して雨漏りが発生するので間違えないようにしましょう。
留め具を付ける箇所に穴を開ける
5山間隔を目安に、錐(キリ)または電動ドリルを使って波板に留め具を付けるための穴を開けていきます。あらかじめ油性ペンを使って穴を開ける部分に印を付けておくと作業がスムーズに進むでしょう。
なお、5山間隔はあくまで目安です。強風地域では風が入り込む隙間を埋めるために、5山よりも狭い間隔で留め具を付けなければならないケースもあります。また、留め具は波板の山に付けるのが基本です。谷は雨水を流す通り道になる箇所であり、穴を開けてしまうと雨漏りの原因になるので注意しましょう。
留め具で固定する
開けた穴に留め具を付けて波板屋根を固定します。取り付けが甘いと留め具が緩み、波板が浮いたり、外れたりする原因となるのでしっかり固定しましょう。
以上が波板屋根を交換する基本的な手順ですが、波板の取り外しや取り付けは高所での作業になるため、ある程度のリスクをともないます。また、波板の加工でケガをする可能性もあるため、安全かつスムーズに波板屋根を交換したいのならリフォーム会社に依頼するのがおすすめです。
ちば住宅コープでは、カーポートやベランダなどの波板屋根の交換・設置作業を受け付けています。
交換作業を行う業者は複数存在しますが、ちば住宅コープではあらかじめ業者の信用性や技術力、価格の妥当性などをチェックするので、安心して施工を依頼できます。
波板屋根の交換の他にも、外壁塗装や屋根塗装など住まいに関するお悩み、問題を解決するサービスを数多く受け付けていますので、波板屋根の交換やその他リフォームをお考えの方はぜひちば住宅コープにご相談ください。