ガルバリウム屋根の特徴は?メリット・デメリットを徹底解説

ガルバリウム屋根の特徴は?メリット・デメリットを徹底解説

近年、屋根の葺き替えや重ね葺きを行うリフォームでガルバリウム屋根を選択する人が増えています。ガルバリウム屋根は耐久性やメンテナンス性の高さがメリットの屋根ですが、一方で注意しなければならない点もあるので、特徴をよく理解して検討しましょう。

今回はガルバリウム屋根の基礎知識や主な特徴、メリット・デメリットについて解説します。

ガルバリウム屋根とは?

ガルバリウム屋根とは、ガルバリウム鋼板と呼ばれる金属を使用した屋根のことです。ガルバリウム鋼板は、ガルバリウムと呼ばれる合金でめっきされた鉄鋼のことで、JIS規格では「溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板」という名称が用いられています。

ガルバリウム鋼板自体は1972年にアメリカで開発された素材で、50年以上の歴史を持つ金属素材です。

改良されたガルバリウム鋼板

日本でガルバリウム鋼板が製品化されたのは1982年のことで、耐久性や防錆性に優れていることから、徐々にシェアを伸ばし始めました。そして、その30年ほど後にガルバリウム鋼板の改良版として開発されたのがSGLです。

SGLはガルバリウム鋼板のめっきにマグネシウムを加えたもので、ガルバリウム鋼板の3倍もの耐食性を誇ると言われています。その優れた性能からSGLは急速に普及し、近年ガルバリウム屋根といえばSGLを使用したものが主流となっています。

4つのポイントでガルバリウム屋根の特徴を紹介

ガルバリウム屋根の主な特徴は以下の4つです。

防錆性が高い

鉄は本来、酸化しやすい性質を持っているため、空気に長く触れていると錆が発生してしまいます。

しかし、ガルバリウム屋根では、めっき材の一つであるアルミニウムが表面にバリア被膜を形成してくれるため、錆の原因となる水や酸素を弾き、錆を防いでくれます。また、鉄が錆びるよりも早く亜鉛が溶け出すことで、鉄の腐食の進行を食い止めるメカニズム(犠牲防食作用)が働くのも特徴です。

この2つの性質により、ガルバリウム屋根はトタン屋根の約4倍錆びにくいと言われており、高い防錆効果を期待できます。

軽量

ガルバリウム屋根は比較的軽量で、屋根瓦の約1/10、スレート屋根と比べると1/3ほどとされています。軽いほど運搬や取り扱いが楽になるため、施工しやすい金属と言えるでしょう。

また、屋根全体の重さが軽くなると建物に掛かる負担も少なくなるという利点があります。

ひび割れしない

瓦やスレート、窯業系のサイディングは、地震による揺れや飛来物の激突、あるいは凍害などによって表面がひび割れてしまうことがあります。

一方、ガルバリウム屋根は金属なので、揺れや衝撃、凍害によるひび割れが起こらないところが特徴です。

水はけが良い

モルタルなどに代表されるセメント系の外壁材は水を吸収しやすく、かつ水はけが悪いという性質を持っているため、仕上げ材が劣化すると苔や藻が発生しやすいというデメリットがあります。

一方、ガルバリウム鋼板は防水性が高く、苔や藻による汚れが付きにくいところが特徴です。水はけが良いので高温多湿の環境を好むカビも生えにくく、表面をきれいな状態にキープしやすい素材とされています。

ガルバリウム屋根のメリット

ガルバリウム鋼板を敷き詰めている屋根職人

ガルバリウム屋根の主なメリットを5つご紹介します。

耐震性が高い

ガルバリウムのメリットの一つは耐震性の高さです。
一般的に屋根材が軽いほど地震の揺れに強いため、耐震性の観点で有利です。前述のとおり、ガルバリウム屋根は瓦やスレートよりも軽いため、屋根の軽量化が可能となり、耐震性を高めることができます。

また、屋根瓦は地震の衝撃で落下し、割れてしまう可能性がありますが、金属のガルバリウム屋根ならその心配も不要です。

メンテナンスの手間がかからない

ガルバリウム屋根の耐用年数はおよそ30~40年ほどと言われています。同じ屋根材であるスレート屋根の耐用年数は約30年、トタン屋根は20~30年とされているため、一般的な屋根材よりも耐用年数が長い傾向にあるのが利点です。

耐用年数が長いガルバリウム屋根はメンテナンスの手間がかかりにくい屋根材とされているため、近年では葺き替えや重ね葺きを行うときに、最も選ばれている屋根材となっています。

耐久性が高い

耐久性が優れているのもガルバリウム屋根の特徴です。先述したように、アルミニウムの保護作用と亜鉛の持つ犠牲防食作用を持ち合わせているため、錆びにくく酸性雨にも強いです。

加工しやすい

ガルバリウム屋根には1.6%のシリコンが含まれていることから、金属の中でも比較的加工がしやすいと言われています。
複雑な折り曲げ加工が可能なので、多彩な形状の屋根に対応できるところがメリットです。

緩勾配にすることが可能

瓦やスレートなど吸水性のある屋根材の場合、水がたまると雨漏りの原因になるため、最低でも2.5寸以上の勾配が必要とされています。

一方、ガルバリウム屋根は水はけが良いため、2.5寸以下の緩勾配にすることも可能です。最少で0.5寸(約3度)の施工にも対応しているため、デザインの幅が広がります。

ガルバリウム屋根のデメリット

ガルバリウム屋根には多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットがあります。注意点もしっかりチェックしておきましょう。

ここではガルバリウム屋根を施工する際に注意したいポイントを4つご紹介します。

防音性が低い

ガルバリウム屋根は金属屋根であり、かつ厚みも少ないという性質上、他の屋根材に比べると音が響きやすい傾向にあります。強い雨が降った場合、雨音が気になる可能性があるため、音に敏感な方は注意が必要です。

対策としては、屋根表面に自然石粒(石粒を付けて雨粒を散らす加工)を施すか、あるいは鋼板の裏に断熱材を貼り付けた断熱材一体型のガルバリウム屋根を使用するなどの方法があります。後者の場合、防音性だけでなく断熱性もアップするため、一石二鳥の効果が期待できます。ただ、普通のガルバリウム屋根よりコストが高くなるので、予算やニーズに合わせて検討しましょう。

断熱性が低い

ガルバリウム屋根は熱反射性には長けている一方、断熱性はそれほど高くありません。そのため、冬場は室内の暖かい空気が外に逃げやすく、暖房費がかさみやすい傾向にあります。

一年通して快適な状態をキープしたいのなら、上記で説明した断熱材一体型のガルバリウム屋根を使用することを検討しましょう。

凹みやすい

ガルバリウム屋根は厚みが少ないため、台風や暴風の影響で何かが飛来してきた場合、表面に凹みができてしまうおそれがあります。衝撃の度合いによっては穴が開いてしまうこともあり、放っておくと雨水が浸入して錆や雨漏りの原因となります。

その場合、すぐに補修が必要となるため、台風や暴風の日に屋根の上で何かがぶつかる音がしたら、業者に頼んで屋根の状態をチェックしてもらった方がよいでしょう。

初期費用がやや高め

ガルバリウム屋根は、一般的なスレート屋根に比べると価格がやや高めに設定されています。
スレート屋根の場合、施工価格は4,500円~8,000円がおおよその目安ですが、ガルバリウム屋根は6,000円~9,000円程度です。

ただ、前述のとおりガルバリウム屋根はスレート屋根よりも耐用性が高いため、メンテナンスの手間と費用を考えると、長い目で見たときのコストパフォーマンスは高くなることが期待できるでしょう。

ガルバリウム屋根をおすすめできる人・できない人

ガルバリウム屋根にするかどうか迷ったら、ガルバリウムの特徴を踏まえた上で、以下の条件に該当するかどうかチェックしてみましょう。

ガルバリウム屋根をおすすめできる人

ガルバリウム屋根をおすすめできるのは、以下のような特徴がある人です。

  • 地震に備えたい人
  • メンテナンスの手間を省きたい人
  • 緩勾配の屋根にしたい人
  • 重ね葺きでメンテナンスしたい人

ガルバリウム屋根は軽量なぶん、耐震性に優れているため、将来の地震や防災に備えたいという方に適しています。特に日本は世界屈指の地震大国として知られており、どこで大地震が起こるか予測することはできません。

防災性を高めたいのなら、スレート屋根よりもガルバリウム屋根の設置を検討した方がよいでしょう。また、ガルバリウム屋根は耐用年数が長いので、メンテナンスの手間をなるべく省きたい方にもおすすめの屋根材です。

なお、メンテナンスの際は葺き替えか重ね葺きのどちらかを選択することになりますが、軽量のガルバリウム屋根なら重ね葺きを選択しても住宅にかかる負担が少ないので、カバー工法でメンテナンスしたい方にも適しています。

また、デザイン面では平らに近い緩勾配の屋根にしたい方はガルバリウム屋根を検討することをおすすめします。

ガルバリウム屋根をおすすめできない人

ガルバリウム屋根は遮音性が低いため、屋根から響く雨音などが気になる方はあまりおすすめできません。
石粒加工を施したり、断熱材一体型のガルバリウム屋根を使用したりすれば遮音性を高められますが、そのぶん初期費用がかさみやすいため、初期投資を安く抑えたい方は他の屋根材を検討した方がよいかもしれません。

以上がガルバリウム屋根を選ぶ際の大まかな基準となりますが、自身のニーズに合っているかどうかわからない場合は、プロの業者に相談してみましょう。

生活協同組合ちば住宅コープでは、屋根塗装やリフォームなど、お住まいの修復や改修に関するサービスを請け負っています。リフォーム工事の業者に対し、料金や技術、業者の対応などを組合員に代わってチェックするので、安心・信頼の業者に施工を任せることが可能です。

ガルバリウム屋根を検討している方や、屋根塗装をお考えの方は、ぜひちば住宅コープまでご相談ください。

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