外壁のクリア塗装は、既存の外壁のデザインを残せることから、「今の外観はそのままに、メンテナンスだけ行いたい」という方に人気の塗装方法です。
ただし、クリア塗装は全ての外壁に適用できるわけではありません。中には、クリア塗装ができないケースもあるため要注意です。
今回は、クリア塗装の概要、クリア塗装を行えないケース、クリア塗装を行うメリット・デメリット、クリア塗装を検討する際に注意したいポイントについて解説します。
目次
クリア塗装とは、無色透明の塗料を使った塗装方法のこと
クリア塗装とは、その名のとおり、無色透明の塗料を使った塗装方法のことです。
一般的な色付き塗料は、再塗装すると既存の外壁の色や意匠が上書きされてしまいます。しかし、クリア塗装は重ね塗りしても本来の外壁の色やデザインが損なわれないところが特徴です。
なお、クリア塗料も、色付き塗料と同じく、アクリル樹脂・ウレタン樹脂・シリコン樹脂・フッ素樹脂など、さまざまなグレードに分類されています。
そのため、樹脂ごとの特徴や性質、価格などを基準に、ニーズに合った外壁塗装を行えるという点は、色付き塗料と共通しています。
外壁のクリア塗装を行うメリット
外壁のクリア塗装を行うと、以下のようなメリットがあります。
既存の外壁の外観を維持できる
色付きの塗料を使用して塗装すると、既存の外壁の色やデザインは塗りつぶされてしまいます。
一方、無色透明のクリア塗装なら、現在の外観をキープしながら外壁のメンテナンスを行えるため、お気に入りの色合いやデザインを損ないません。
外壁にツヤが出る
新築時の外壁は色も鮮やかでピカピカとしたツヤがあります。しかし、経年劣化すると塗装が次第に剥がれ、色ツヤが悪くなってきてしまいます。
そこで、クリア塗装を行うと、外壁表面の光沢がよみがえり、まるで新築のようなツヤのある仕上がりを実現できるでしょう。
なお、マットな仕上がりを希望する場合は、ツヤ消しタイプのクリア塗料を使用するという方法もあります。
短い工期で仕上げられる
一般的な外壁塗装では、下塗り・中塗り・上塗りの計3回塗りが基本です。
一方、クリア塗装の場合は、中塗り・上塗りの2回塗りのみで施工できます。
下塗り工程はもちろん、下塗りから中塗りまでの乾燥時間も省略できるため、通常の外壁塗装よりも工期を大幅に短縮できるでしょう。
外壁塗装中は、足場や養生シートが設置されるぶん、日常生活で何かと不便やストレスを感じるため、工期が短縮されるのは大きな利点です。
コスト削減になる
クリア塗装では、下塗り工程を省略できるため、下塗り材の費用をカットできます。
また、施工時の天候や下地の状態にもよりますが、工期が短縮できた場合、人件費も節約できるため、トータルでのコストを抑えられる可能性がある点がメリットです。
チョーキングが起こらない
チョーキングとは、経年劣化の影響で外壁塗装の成分が分離することにより、顔料が外壁の表面に表出する現象のことです。チョーキングが発生すると、外壁の表面に触れた際に粉状の物質が付着するようになります。
クリア塗料であれば、チョーキングによって表出する顔料が含まれていないため、チョーキング現象が発生しないといわれています。
チョーキングの粉が衣服や肌に付着すると、きれいに落とすのはなかなか困難です。クリア塗装なら、そのようなリスクを避けられるでしょう。
外壁をクリア塗装するデメリット
外壁をクリア塗装することには、メリットがある反面、注意しなければならないデメリットもあります。
外壁の傷みを隠せない
一般的な色付き塗料なら、外壁に汚れやクラック(ひび割れ)が生じていても、必要な補修を行った上で再塗装すれば傷んだ部分の見た目をカバーできます。
一方、クリア塗装は無色透明なので、たとえ補修を行ったとしても、傷んでしまった見た目を覆い隠せません。
その場合、見た目がきれいに仕上がらない可能性があるため、注意が必要です。
一般的な外壁塗装よりも早いサイクルでの施工が必要
クリア塗装では、傷んだ部分の見た目をカバーできないため、傷みが目立ち始める前に施工する必要があります。
一般的な外壁塗装であれば、10年を目安に施工を検討し始めますが、クリア塗装の場合は10年未満での施工を考えたほうがよいでしょう。外壁の材質や立地条件によっては劣化具合が異なるため、もう少し早いタイミングでの施工を検討する必要もあるかもしれません。
また、外壁塗装にはそれなりの費用がかかるため、短いスパンで施工するとコストがかさむおそれがあります。
耐用年数が短い
クリア塗料は一般的な色付き塗料よりも耐用年数が短いといわれています。
長持ちしやすいといわれるシリコン樹脂やフッ素樹脂のクリア塗料を選んだとしても、色付きのものに比べれば寿命は短いでしょう。小まめなメンテナンスが必要です。
全ての外壁に施工できるわけではない
クリア塗装は全ての外壁に行えるわけではなく、外壁の状態や素材によっては施工ができないケースもあります。
クリア塗装を検討する際は、自宅の外壁が施工に適しているかどうかを事前にチェックしましょう。
外壁のクリア塗装ができないケース
外壁のクリア塗装は全てのケースに適用できるわけではありません。
外壁の状態や使用されている外壁材によってはクリア塗装ができない場合もあるでしょう。
ここでは、外壁のクリア塗装ができない主なケースをご紹介します。
外壁の劣化が進んでいる場合
クリア塗装は下の外壁が透けて見えるため、経年劣化が進んでチョーキングやクラックが生じている外壁への施工には不向きです。
どうしてもクリア塗装したい場合は、下地の補修、および色付き塗料による外壁塗装を行った後、再び劣化が目立ち始める前にクリア塗装を行う必要があります。
特殊コーティングが施されている場合
近年は、自浄効果や防汚効果などの特殊コーティングを施した外壁が人気を集めています。しかし、これらのコーティングの上からクリア塗装を行うと、塗料がうまく定着せず、短期間で剥がれてしまうおそれがあります。
具体的には、光触媒塗料・フッ素塗料・無機塗料などが使用されている外壁は、クリア塗装と相性が悪いでしょう。
ただし、近年は、クリア塗装が可能な特殊コーティングも増えてきています。特殊コーティングが施されていたとしても、一度業者に相談してみるとよいでしょう。
金属系サイディングの場合
トタンやアルミ、ガルバリウム鋼板といった金属系サイディングは、窯業系サイディングに比べて軽量性・断熱性・耐候性・メンテナンス性などに優れていることから、一般住宅にも多用されています。
ですが、金属系サイディングは、窯業系サイディングに比べると表面がつるつるしているぶん、塗料の定着率が低く、クリア塗装が剥がれやすい傾向があります。
また、金属系サイディングの中には、外壁塗装によるさび止めを行わなければならないケースもあります。その場合、さび止め顔料を配合した塗料を使うことになるため、クリア塗装は行えません。
過去にクリア塗装を行っている場合
クリア塗装を行っている場合、上から再度クリア塗料を塗り直すことはできません。
クリア塗料を同じ場所に二度塗りすると、透明にならず、白く濁って仕上がりが悪くなってしまう可能性があるためです。
基本的に、クリア塗装は二度塗りが推奨されないことを念頭に置いておきましょう。
外壁のクリア塗装に関する注意点
外壁のクリア塗装を行うにあたって注意すべきポイントを3つご紹介します。
劣化する前に施工する
クリア塗装を美しく仕上げるためには、クラックやチョーキングなどの劣化が目立ち始める前に施工するのが理想です。外壁塗装は、おおむね10年が経過すると劣化が始まるといわれています。劣化が始まる前に、クリア塗装を行うようにしましょう。
なお、環境によっては、10年よりも早めに劣化が始まることもあります。日頃から外壁の状態を観察し、ヒビが入っていないか、粉を吹いていないかなどを定期的にチェックすることをおすすめします。
コーキングの上から塗装できない
外壁材と外壁材の間に生じた隙間は、コーキングと呼ばれる充填剤によって埋められています。基本的にコーキングの上からクリア塗装を行うことはできません。特に、ノンブリードタイプのコーキング剤は、クリア塗料との相性が悪く、上から塗装してもすぐに剥がれ落ちてしまうでしょう。
そのため、クリア塗装と同時にコーキングの充填を行う場合は、クリア塗装した後にコーキングを充填します。あるいは、コーキングを施した後、その部分を養生してからクリア塗装を行います。
信頼できる業者に依頼する
クリア塗装は無色透明であるため、色付き塗料に比べると均一に塗装するのが難しく、ムラや気泡が発生しやすい傾向にあります。
そのため、クリア塗装を依頼する場合は、高い技術力と豊富な実績を兼ね備えた信頼できる業者を選ぶことが大切です。
ちば住宅コープでは、外壁塗装を請け負う業者に対し、「信用できるか」「技術力・提案力は満足できるか」「アフターサービスはきちんと行われるか」などをチェックしております。
初めて外壁塗装を行う場合でも、安心して施工を依頼できるため、業者選びに悩んでいる方におすすめです。
外壁塗装だけではなく、同時に施工することが推奨されている屋根塗装や、各種リフォームの相談も受け付けております。住まいの塗装やリフォームに悩んでいる方や、業者選びに困っている方は、ぜひ、ちば住宅コープにご相談ください。