モルタル壁の特徴やメンテナンス方法を詳しく解説

モルタル壁の特徴やメンテナンス方法を詳しく解説

現在の日本では窯業系サイディングが外壁の主流となっていますが、あえてデザイン性に優れたモルタル壁を採用する人も少なくありません。モルタルには他の外壁材にはない特徴やメリットがある一方、いくつかのデメリットや注意点があるので、モルタル壁の採用を検討している方は注意が必要です。

今回はモルタル壁の特徴やメリット・デメリット、モルタル壁のメンテナンス方法について解説します。

モルタル壁の特徴

モルタル壁とは、セメントと水、砂を混ぜ合わせて作る外壁のことです。日本では1950年頃に普及し始め、洋風の住宅が流行した1975年頃には圧倒的な人気を誇るようになりました。実際、1990年までに建築された建物のほとんどはモルタル外壁を採用しています。

その後は窯業系サイディングへの移行が進み、モルタル外壁の人気は下火になっていきますが、モルタル外壁ならではの独特な意匠性は今なお好まれており、あえて採用する住宅も多いです。

そのようなモルタル外壁の主な特徴は3つあります。

目地がない

窯業系サイディングは、外壁材と外壁材の間に目地と呼ばれる継ぎ目が存在します。住宅の外壁ではこの目地を埋めるためにコーキングを充填する必要があります。

一方、モルタル外壁は板状の部材を張り付けていく窯業系サイディングとは異なり、セメントと水と砂を混ぜ合わせて作ったモルタル材をコテなどで塗りつけていく工法を採用しているため、目地がないところが大きな特徴です。

デザインが豊富

モルタル壁のデザインは、仕上げの工法によって複数のパターンに分かれています。同じモルタル材を使った場合でも、仕上げの仕方によってデザインが大きく変化するため、独特の意匠性を楽しめます。

また、同じ工法を採用したとしても、手作業で行うぶん、デザインがまったく同じになることはない点もモルタル壁ならではの特徴です。

防水性がない

モルタル壁の主原料であるセメントは吸水してしまう性質があり、それ自体に防水性はありません。そのため、モルタル材を塗った後は仕上げ材や塗装などを行って防水性を確保する必要があります。

モルタル壁の種類

前述のとおり、モルタル壁は仕上げの工法によって複数の種類に分類されます。

ここではモルタル壁の主な種類を5つご紹介します。

リシン吹き付け

樹脂やセメント、着色料を配合した塗材に、細かな石や砂などを加えて作るリシンを吹き付けて仕上げる工法です。

石や砂が入っているぶん、表面がざらざらとした仕上がりになるところが特徴です。また、光沢のないマットな仕上がりになるため、落ち着いた印象を与えたい場合に敵しています。

モルタルの中では最も一般的な種類で、比較的安価であることや、手軽に仕上げられることから、1970年~80年代に多用されました。

リシンかき落とし

リシンをコテで塗り、リシンが乾く前に剣山やブラシなどを使って表面を擦り落とす工法です。

表面を擦ることで、リシン吹き付けに比べると柔らかい印象に仕上がります。高級感も出ますが、リシン吹き付けよりプラスアルファの工程が必要になるため、やや費用は高くなります。

スタッコ

セメントと石灰、水を混ぜた塗材に大きめの石や砂を混ぜたスタッコと呼ばれる材料で仕上げる工法です。

前述したリシンと同様に、͡コテ塗りと吹き付けの二つの工法があります。リシンに比べて材料に大きめの砂や石が使われていることと、より分厚く施工することから、模様が大きく、かつ立体感のあるデザインになるところが特徴です。なお、スタッコは塗材を吹き付けるだけの吹き放し仕上げと、塗材が固まる前にローラーで凹凸を潰してならすヘッドカット仕上げの2つがあります。同じスタッコでも、どの工法を選ぶかによって家の表情が大きく変わります。

吹き付けタイル

スプレーガンを使って複層仕上げ塗材を外壁に吹き付けて仕上げる工法です。下塗り、中塗り、上塗りの3つの工程で仕上げられます。

外壁表面に丸くて凹凸のある模様ができることから、玉吹き塗装とも呼ばれています。ガンを使って塗料を吹き付ける点はリシンやスタッコと共通していますが、砂や石を配合しないため、なめらかな仕上がりになるところが特徴です。スタッコと同じく、塗料を吹き付けてそのまま完成させる方法と、ローラーで凹凸を潰す方法の2種類があります。

左官仕上げ

スプレーガンを使わず、左官職人がコテやローラーを使って塗料を塗りつけて仕上げる工法です。

道具の動かし方によって多彩なデザインを描けるところが特徴で、波形や縞模様、扇形など、好みのデザインに仕上げられます。最もオリジナリティ溢れる外観に仕上がるところが利点ですが、表現方法や塗りの質は技術力に大きく左右されるため、経験豊富な職人に依頼する必要があります。

モルタル壁のメリット

住宅の外壁をモルタル壁にする場合のメリットを4つご紹介します。

デザイン性が高い

窯業系サイディングにはさまざまな種類がありますが、工場で大量生産された部材を使用するため、同じサイディングを使うと似たような外観になってしまいがちです。

その点、モルタル壁は同じ材料を使ったとしても、塗料の吹き付け方や塗り方によって表情が大きく変化するので、唯一無二の個性的な外観になります。特に左官仕上げはデザインの幅が広く、理想のイメージをそのまま形にしてもらえるので、満足感の高い仕上がりになります。

耐火性が高い

モルタル壁の原料であるセメント、水、砂はいずれも不燃性物質なので、耐火性に優れています。万一火災が発生しても、火が燃え広がるスピードが遅いので、被害の拡大を食い止められるところが利点です。

実際、モルタル材は建築基準法施行令第108条の2に定められた以下3つの要素を満たす不燃材料として認識されています(※)。

  • 燃焼しないものであること
  • 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること
  • 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること

(※)e-Gov法令検索「建築基準法施行令」

目地の補修が不要

窯業系や金属系サイディングの場合、雨水が部材間の隙間から入り込むのを防ぐため、コーキング材を充填する必要があります。コーキング材は時間が経つと次第に劣化が進み、亀裂が入ったり、剥がれてきたりするおそれがあります。放っておくと雨漏りの原因となるので、一般的には5年程度、長くても10年程度で古くなったコーキング材を剥がし、新しいものを充填しなければなりません。

一方、モルタル壁は目地自体が存在しないため、コーキング材による補修は不要であり、補修に要する手間やコストを省けます。

遮熱効果を期待できる

金属製サイディングは熱伝導性が高いため、直射日光が当たると表面が熱くなりやすく、かつ室内の温度も上昇しやすい傾向にあります。そのため、金属製サイディングを使用する際は遮熱効果のある塗料でコーティングするなどの工夫をこらさなければなりません。

一方、モルタル壁は熱の影響を受けにくい素材で作られているため、そのままの状態である程度の遮熱効果を期待できます。

モルタル壁のデメリット

クラックが入った壁

多くのメリットがあるモルタル壁ですが、以下のようなデメリットがある点に注意が必要です。

クラックが生じやすい

窯業・金属系サイディングにある目地は、コーキング材を充填することで緩衝材としての役割を果たすため、地震の揺れを軽減する効果が期待できます。

一方、モルタル壁は目地がないため、地震の影響を受けやすく、クラックが生じやすい傾向にあります。

防水性が低い

モルタル壁そのものには防水性が備わっていないため、そのままの状態だと雨水が侵入し、雨漏りなどの原因となります。

そのため、モルタル壁には防水性の高い塗料を使用しますが、経年劣化によって塗膜の機能が低下すると雨漏りのリスクが高くなるため、小まめなお手入れが必要になります。

汚れやカビ・苔が生じやすい

モルタル壁は表面に凹凸があるので、汚れやカビ菌、苔などが付着しやすい傾向にあります。

定期的に清掃しないと外壁の見た目が悪くなるのはもちろん、壁材そのものの劣化が早くなる可能性もあるので要注意です。

工期が長くなりやすい

窯業・金属系サイディングは部材を張り付けていくだけですが、モルタル壁はモルタル材を塗った後、スプレーガンを使った吹き付けやコテ・ローラーによる塗りなどの作業を行わなければなりません。

これらは職人の手作業で行われるため、サイディングに比べると工期が長くなりやすいところが難点です。

劣化症状別!モルタル壁のメンテナンス方法

壁を塗り直す様子

モルタル壁のメンテナンス方法を劣化症状別にまとめました。

クラック

モルタル壁に生じやすいクラックの対処法は、細かなひび割れ(ヘアークラック)か、大きなひび割れ(構造クラック)かによって異なります。

ヘアークラックの場合は亀裂の部分にコーキング材を擦り込むことでひび割れを埋めます。

一方、構造クラックの場合はヒビの周囲をV字またはU字に切り取り、空いた部分にコーキング材を充填して対処する方法です。

チョーキング

チョーキング現象が出ている場合は塗膜が劣化している証拠なので、塗り替えが必要になります。

具体的な手順としては、まず高圧洗浄で既存の塗料を洗い流してから、シーラーまたはフィラーで下塗りした後、中塗り・上塗りで仕上げていきます。

塗膜の浮き・剥がれ

塗膜が浮いたり、剥がれたりしている場合は、塗り替えが必要です。まず該当箇所をヘラや研磨紙などを使って除去し、さらに高圧洗浄で汚れや既存の塗料を洗い流した後、下塗り・中塗り・上塗りをして仕上げます。モルタル壁は防水性が低いぶん、塗膜の劣化が進むと浸水のリスクが高くなります。

早めに対処しないと雨漏りが生じる可能性があるので、モルタル壁を検討している場合は小まめに壁の状態をチェックし、定期的にメンテナンスすることを心掛けましょう。

ちば住宅コープでは、外壁塗装や外壁の補修など、住まいのリフォームに対応しています。組合員の方に代わって、事務局が業者の技術力や提案力、見積もりの内容などをチェックするサービスを提供しているため、初めて外壁塗装を行う方でも安心して依頼できます。

住まいの外壁をモルタル壁にしたいとお考えの方や、モルタル壁のメンテナンスを検討されている方は、ぜひちば住宅コープにご相談ください。

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