焼杉外壁の6つの特徴とメリット・デメリットを詳しく解説

焼杉の外壁にしたい!メリット・デメリットを詳しく解説

焼杉は、古くから日本の建物に用いられてきた伝統的な外壁材の一つです。杉の木は比較的入手が容易であることに加え、心材と呼ばれる赤身の部分が外壁に適した性能・機能を備えていることから、近年になって再注目され始めています。

ただ、焼杉には複数のメリットがある一方、いくつか気を付けなければならない点もあるので、特徴をよく理解してから検討するのがおすすめです。

今回は焼杉の特徴や、焼杉を外壁に使用するメリット・デメリットについて解説します。

焼杉とは、杉板の表面を炭化させたもの

バーナー

焼杉とは、杉板を焼き焦がして、表面を炭化させたもののことです。

杉板を焼く方法は2パターンあり、1つはバーナーを使う「バーナー焼」です。後述する三角焼きに比べると弱い火力で炙るので、炭化層は薄めになります。そのぶん加工性に長けているほか、木材の表情の付け方を変えやすく、デザイン性にも優れているところが特徴です。

もう1つは、3枚の杉板を三角柱にして固定し、その中で火を焚いて内側を焼く「三角焼き」です。古来から採用されている伝統的な製法で、バーナー焼に比べると厚くて固い炭化層を作れる利点があります。大型バーナーで一気に炙ることもできるバーナー焼きに比べると手間と時間は掛かりますが、そのぶん耐久性の高い焼杉に仕上がります。

このように、焼き方によって焼杉の持つ性能や外観が変化するため、ニーズに合わせて使い分けるのが一般的です。

焼杉の6つの特徴

焼杉の持つ主な特徴を6つご紹介します。

落ち着きのある外観

焼杉は表層を炭化させるという独特な製法を採用しているため、表面は深みのある黒色になります。また、炭特有の光沢感や陰影もあり、日本家屋のデザインにマッチしやすいところが特徴です。

原料となる杉も、天然木材ならではの温かみやぬくもりがあり、工業系のサイディングにはない風合いを醸し出しています。

高耐火性

木に含まれる炭素は、燃やすと酸素と結び付いて二酸化炭素となり、空気中に放出されます。この場合、燃えかすは灰になるので、後に残ることはありません。

しかし、木を低酸素や無酸素の環境下で燃やすと、木材の中の炭素は固体として残ります。この過程で形成される炭素(炭)は、一般的な環境下では燃えにくいのが特徴です。焼杉は、表面にこのような炭化層を形成することで、火災が発生しても燃えにくい高耐火性を実現しています。

高耐久性

焼杉は木材の表面を焼き焦がして炭化させることにより、木材に含まれる水分や有機物が大幅に減少します。

木材劣化の原因となる腐朽菌やシロアリは、いずれも多湿の環境を好む性質があるため、水分の少ない焼杉は防腐・防虫効果に優れた高耐久性の素材として知られています。

調湿効果

焼杉には木材ならではの天然の調湿効果があり、湿度が高くなると、周囲の湿気を吸収して湿度を調整してくれます。逆に湿度が低くなった場合、焼杉が乾燥・収縮することで通気性が良くなる仕組みになっています。

軽量

焼杉は高耐久性でありながら、一般的なサイディングよりも軽量となっています。そのぶん建物に掛かる負荷が少なくなるため、家の寿命を伸ばすと同時に、地震などによる揺れの影響も軽減することができます。

高断熱性

木材は細胞の中に空気層を形成しているため、熱が伝わりにくい性質を備えています。日差しが強いときは輻射熱の影響によって外壁材そのものはもちろん、その周囲にも熱気が伝わりますが、焼杉は熱が伝わりにくいぶん、触れても熱くなりにくく、室内を涼しい状態に保てます。

逆に冬は室内の暖かい空気を逃しにくくなるところが特徴です。

焼杉の外壁を採用するメリット

家の外壁に焼杉を採用する場合のメリットを6つご紹介します。

防火性が高い

前述のとおり、焼杉は優れた耐火性を持っており、火がついても周囲に燃え広がりにくいという特徴があります。木造建築は火災に弱いというイメージがありますが、焼杉の家なら火災による被害の拡大を抑えることが可能です。

耐震性が高い

焼杉は窯業サイディングなどに比べて軽量なぶん、躯体に掛かる負荷が少ないため、地震が発生したときのダメージも軽減されます。

地震大国と言われる日本では、地震に対する備えは必要不可欠であり、防災面からも焼杉に注目が集まっています。

室内空間の快適性が向上する

焼杉は優れた断熱効果を備えているため、夏は涼しく、冬は暖かい空間をキープすることができます。エアコンなどの冷暖房機器も必要最小限の稼働で済むため、光熱費の節約にもつながります。

また、木材特有の調湿効果によって湿度も調節できるため、夏は多湿対策、冬は乾燥対策としても有用です。高温多湿による熱中症対策やカビ対策になる他、乾燥による感染症対策や肌荒れ対策にもなり、一年通して健康的かつ快適な暮らしを維持できます。

比較的メンテナンスが楽

焼杉は耐久性が高いため、他の外壁材に比べるとメンテナンスの手間があまり掛かりません。また、工業製品の場合は生産が終了すると部分補修は不可能になりますが、焼杉なら杉板さえあれば永年にわたって補修が可能です。

傷んだ部分だけ補修すれば全面張替の手間は不要なので、手軽にお手入れできるところが魅力です。

コストパフォーマンスが良い

焼杉は、一般的に30年以上持つと言われています。炭化層の厚みがある三角焼きなら、50年以上持たせることも可能とされています。比較的メンテナンスが楽なので、コストパフォーマンスに優れているところが利点です。

独特の風合い、意匠性がある

焼杉は表面を炭化させることによって、光沢のあるシックな黒色になります。人工の黒色塗料とは、色合いや質感、ツヤ感が大きく異なり、どっしりとした落ち着きのある外観になるのが特徴です。

一方、天然の木材ならではのぬくもりや温かみも残っているため、木の家に憧れる方から高い人気を誇っています。特に和モダンやナチュラルモダンなどのデザインと相性が良く、和のたたずまいにこだわりたい方におすすめです。

環境に優しい

焼杉の製造方法は、他のサイディングに比べると製造過程においてほとんど温室効果ガスを排出しません。製造過程で出た切れ端や端材は薪燃料として再利用できるので無駄も少なく、地球に優しい外壁材とされています。

また、国内の杉を使用することは山の手入れにもつながり、日本の林業の保護にもつながっています。

焼杉の外壁を採用するデメリット

焼杉の壁

焼杉の外壁には多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。外壁は一度変更してしまうと簡単にやり直しがきかないので、焼杉のデメリットもよく理解した上で検討するのがおすすめです。

ここでは焼杉の外壁を採用する際に注意したいポイントを4つご紹介します。

触ったときに汚れる

焼杉は表面を焼いて炭化させているため、触れると黒い汚れが付着します。手に付着しただけなら洗えば落とせますが、汚れた手で服や家財に触れると、素材によっては汚れを落とすのが困難です。

また、ベランダなどに洗濯物を干す場合、干したものが風にあおられて外壁に触れると、生地が黒く汚れてしまうおそれがあります。特に小さなお子さんがいる家庭では、外壁に触れないよう注意するとともに、洗濯物の干し場所を工夫するなどの配慮が必要になります。

焼杉の外壁を採用する以上、汚れるリスクはゼロにはなりませんが、炭成分を極力少なくした焼杉など汚れが付着しにくいものもあるので、汚れが気になる方は検討してみてもよいでしょう。

また、汚れ対策として焼杉以外の素材を組み合わせて施工するという方法もあります。

反りや割れ、剥がれなどが起こる

焼杉に限らず、木材は経年劣化によって反りや割れなどが生じることがあります。また、焼杉の場合は老朽化にともなって表面の炭化層が剥がれ落ちてくるリスクもあります。

炭化層が剥がれると、焼杉ならではのデザイン性や耐久性、耐火性などが低下してしまうのでメンテナンスが必要になりますが、再度の焼き込みはできません。

ただ、炭と同じ成分を含むもの(墨汁など)で部分的に補修したり、劣化した部分だけ張り替えたりすることはできるので、全面補修より手間は掛からないでしょう。

地域によってはそのまま使えないことがある

都市計画法に基づいて防火地域・準防火地域に指定されているエリアは、耐火構造を備えた建築物にすることが義務づけられています(※)。

こうしたエリアでは外壁に用いる素材などにも一定の制限が設けられています。焼杉には防火性能が備わっていると説明しましたが、公的機関で正式に評価されたものではないため、防火地域や準防火地域では焼杉の外壁を使用できない場合があります。

ただ、壁の構造を工夫して耐火性能を持たせれば焼杉を使用することも可能なので、業者に相談してみるとよいでしょう。

参考 e-Gov法令検索「都市計画法 第9条」
参考 e-Gov法令検索「建築基準法 第61条」

塗装が必要になることがある

焼杉はそれ自体に高い耐久性が備わっているので、新築した当初は塗装が必要ありません。しかし、紫外線の影響を受けるとだんだん色があせてくるため、退色が目立ってきたら塗装が必要になります。

また、焼杉はもともと杉板で作られたものなので、防水性を施すために塗装が必要になることもあります。焼杉はメンテナンスにあまり手間の掛からない素材ですが、全く手入れが不要というわけではないので注意しましょう。

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