サイディングは1960年代に普及して以降、現在に至るまで外壁の主流となっている外壁材です。当初は種類も少なく、選択肢は限られていましたが、現在ではさまざまな種類のサイディングが流通しています。どの種類を選ぶかによって外観や性能に差が出るので、新築や外壁の張り替えを行う際は種類ごとの特徴をチェックしておきましょう。
今回はサイディングの主な種類とそれぞれの特徴、メンテナンス方法について解説します。
目次
外壁材として人気のサイディングとは?
サイディングとは、建物の外壁に使用される板状の仕上げ材の一種です。1960年以前は、セメントと水、砂を混ぜ合わせて作ったモルタル材を塗り込めるモルタル壁が主流でしたが、手間と工期が掛かること、防水性が低いことなど、いくつかの問題点を抱えていました。
そこで誕生したのが、手間と工期を大幅に省略できるサイディングです。サイディングは工場などで製造されたものを現場に持ち込み、外壁に張り付けていくことで仕上げられるため、工期の短縮および手間の削減に繋がります。
また、サイディングは工場で生産されるので一枚あたりのコストも比較的安く、かつ仕上がりが職人の腕に左右されない点も大きな特徴となっています。
さらに、サイディングは目地(部材間の隙間)にコーキング材を充填することで揺れへの耐性が備わることから、地震に強い外壁材としても人気を集めました。
結果として、サイディングはモルタル壁に代わる外壁材としてシェアを伸ばし、現在はほとんどの住宅で採用される代表的な仕上げ材となっています。
サイディングの種類別の特徴
サイディングの種類は使用されている素材に応じて、大きく4つの種類に分かれています。
ここでは4種類のサイディングの特徴を分かりやすくまとめました。
窯業系サイディング
窯業系サイディングとは、セメントに繊維質や混和剤などを混ぜて板状に形成した仕上げ材のことです。
製造過程で窯による高熱処理が施されることから窯業系サイディングと呼ばれています。大量生産が可能で、一枚あたりのコストが比較的安く抑えられることから、初期費用の掛からない仕上げ材として知られています。
また、主原料であるセメントは耐火性に優れており、万一火災が発生しても燃え広がりにくいという性質です。実際、窯業系サイディングの中には、耐火等級3~4(火を遮る時間の長さが45分~60分以上)に相当する製品が多く存在しており、耐火性の高い住宅に仕上げられます(※1)。
以上の点から、窯業系サイディングは他の種類に比べて圧倒的な人気を誇っており、国内シェア率は約8割を占めています(※2)。
需要が高いぶん、色柄のバリエーションが豊富でデザインにこだわれるところも窯業系サイディングならではの魅力です。
(※1)国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」P9
(※2)一般社団法人日本サッシ協会「2024年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要」
金属系サイディング
金属系サイディングとは、金属板に断熱性の高い裏打材を取り付けたサイディングのことです。
元々は古い外壁材の上に重ね張りする外壁カバー工法に多用されていた仕上げ材ですが、デザイン性を重視した金属系サイディングが流通し始めてから、新築に採用されるケースが増えてきました。
金属系サイディングの特徴は、断熱性と強度が高いところです。断熱材と一体の構造になっているため、熱が伝わりにくく、夏は涼しく、冬は暖かい状態をキープしやすいところが利点です。また、外気の影響を受けにくくなると冷暖房効率がアップするため、省エネ性の向上も期待できます。
さらに、金属ならではの強度の高さも魅力の一つで、時間が経過してもひび割れが起こりにくく、家を長持ちさせられます。それでいて重量は比較的軽いので、建物に掛かる負担も少なく、地震のダメージも受けにくいところが利点です。
なお、金属系サイディングは使用する金属によって、さらに以下4つの種類に区分されます。
- ガルバリウム鋼板
- SGL
- アルミ
- トタン
かつてはトタン製のサイディングが主流でしたが、現在は耐久性や防さび性に優れたガルバリウム鋼板(金属鋼板をアルミや亜鉛、シリコンでめっきしたもの)やSGL(ガルバリウムにマグネシウムを追加したもの)が広く普及しています。
木質系サイディング
木質系サイディングとは、無垢材の表面を加工して耐火性などを持たせたサイディングのことです。
木材はそのままだと燃えやすい性質を持っていますが、表面に塗装などの処理を施して耐火性能をプラスすれば、外壁材として使用できます。
木質系サイディングのメリットは、何と言っても木材特有の暖かみのあるデザインです。独特の模様を描く木目や、木材ならではの色調や質感はデザイン性が高く、ナチュラルな外観や和モダン住宅を理想とする方におすすめです。
また、木材は熱を吸収しにくい性質があることから、断熱性が高く、室内の気温を一定に保ちやすいというメリットもあります。ただ、木材は腐食に弱いというデメリットもあるため、クリア塗装などのメンテナンスを小まめに行うことが大切です。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングとは、塩化ビニル樹脂を主原料としたサイディングのことです。
塩化ビニル樹脂は凍害や塩害への耐性が高く、凍結によるひび割れなどのリスクが少ないことから、寒さの厳しい北米では昔から広く採用されてきた歴史があります。また、樹脂系サイディングは素材そのものに顔料を練り込んであるため、退色が起こりにくく、メンテナンスの手間を省けるところも大きな利点です。
さらに、防水性が高くて雨漏りのリスクを軽減できること、軽量で建物に掛かる負担を少なくできるところなども特徴ですが、日本ではほとんど普及していないため、色柄のバリエーションが少なめです。シェア率の低さから、施工に対応している業者も少ないので、樹脂系サイディングを検討する際は業者選びに苦労する可能性があります。
サイディングのメンテナンスを行う周期
どの種類のサイディングを選んだ場合でも、定期的なメンテナンスは必要です。
メンテナンスの周期はサイディングの種類によって異なりますが、耐用年数に応じて以下の周期でお手入れするのが一つの目安とされています。
- 窯業系サイディング:7年~10年
- 金属系サイディング:10年~15年
- 木質系サイディング:7年~10年
- 樹脂系サイディング:10年~20年
なお、上記の年数はあくまで目安です。環境によっては上記の年数よりも早く劣化が始まる可能性があるので、年に1度はご自分で家の外周を歩いて回り、外壁の状態をチェックすることをおすすめします。
サイディングのメンテナンス方法
サイディングを長持ちさせるために、定期的に行いたいメンテナンス方法を5つご紹介します。
清掃
サイディングは風雨や車の排ガス、花粉などにさらされやすい環境にあるため、小まめな清掃は必須です。特にカビや苔などを放置していると、見た目が悪くなるだけでなく、外壁の劣化に繋がるおそれがあるので要注意です。
サイディングを掃除する際は、ホースなどで水を掛けながら、雑巾または柔らかいブラシ等を使って水洗いします。頑固な汚れがある場合は住居用の中性洗剤を使用して洗浄しましょう。サイディングを強めに擦ったりすると塗膜が剥がれる原因になるので、優しく掃除するのがポイントです。
なお、落ちにくい汚れについては家庭用の高圧洗浄機を使うという方法もありますが、強い水圧は塗膜に負担を掛けてしまうので、頻繁な利用は控えた方がよいでしょう。
塗り替え
サイディングが色あせたり、触れたときに粉状の物質が付くチョーキング現象が現れたりしたときは塗膜の劣化が疑われるため、塗り替えを検討しましょう。
塗り替え作業の基本的な工程は以下のとおりです。
- 足場の設置と養生
- 高圧洗浄による清掃
- 下地処理
- 塗り作業
- 足場の解体
3の下地処理とは、クラックの補修やコーキング材の充填などです。塗り作業は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本ですが、間に乾燥工程が入るので、一般的な二階建て住宅の場合、塗り替えに要する日数は7日~10日前後と言われています。
ただ、途中で雨が降ったり、外壁の傷みがひどくて補修に時間が掛かったりした場合は工期が延びることもあります。また、外壁塗装を行う場合は足場の設置が二度手間にならないよう、屋根塗装も合わせて行うことが推奨されていますが、その場合は10日~14日ほど掛かると考えておいた方がよいでしょう。
張り替え
サイディングに大きなひび割れが入っていたり、反り返ったりしている場合は修理が難しいため、古いサイディングを撤去して新しいサイディングに入れ替える張り替え作業を行う必要があります。
サイディングは元々板状になった部材を複数枚張り合わせる工法のため、既存のサイディングと同じ部材が手に入れば、傷んだ部分だけをピンポイントで張り替えられます。ただ、既存のサイディングと同じものが手に入らなかった場合、部分張り替えで済ませるとその部分が周囲から浮いてしまい、外観が悪くなってしまうので、全体の張り替えを検討する方も多いようです。
なお、張り替えの一般的な工程は以下のとおりです。
- 足場の設置・養生
- 既存サイディングの撤去
- 下地処理・防水シート張り
- 外壁材の張り付け
- コーキング施工
- 足場の解体
家全体のサイディングを張り替える場合は、およそ1カ月の工期が掛かります。
目地の補修
サイディング間の目地に充填されているコーキング材は、外壁材同様、時間が経つと劣化し始めます。コーキングが劣化すると雨水が浸入しやすくなったり、地震の揺れのダメージを軽減できなくなったりするリスクがあるので、定期的に補修する必要があります。
目地を補修する方法は、既存のコーキング材の上から新しいコーキング材を充填する「増し打ち」と、既存のコーキング材を除去して新しいコーキング材を充填する「打ち替え」の2パターンです。工期が短く、ローコストで済むのは増し打ちですが、耐用年数が2年~5年程度と短いため、長持ちさせたいなら打ち替えを検討した方がよいでしょう。
ちば住宅コープでは、住まいの外壁塗装工事を請け負っています。施工する業者は、事務局が技術力や提案内用、見積もり金額、アフターサービスなどについて入念にチェックを行うため、安心して作業を任せられます。
外壁塗装の他にも、一緒に行うことが推奨されている屋根塗装や、防水工事、リフォームなどに対応しているので、サイディングの塗装や張り替えなどを検討されている方はぜひちば住宅コープにご相談ください。