屋根塗装には錆止めが必要?塗料の種類や特徴を紹介
屋根塗装を行う際、状況によっては錆止めが必要になることもあります。錆止め塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なるので、錆止めを使う際は種類ごとの違いをチェックしておきましょう。
今回は屋根塗装における錆止めの必要性や、屋根塗装に用いられる錆止め塗料の種類と特徴、屋根塗装を業者に依頼するときの注意点について解説します。
目次
屋根塗装には錆止めが必要?
屋根塗装をする際、すべてのケースで錆止めが必要になるわけではありません。錆止めはその名の通り、錆の発生を抑えるものなので、錆が発生する屋根材を使用している場合のみ用いられます。
具体的な用途は、以下の2つです。
- 金属屋根(トタン屋根・ガルバリウム鋼板屋根など)
- 屋根の板金
トタン屋根とは、亜鉛メッキ鋼板でできた金属屋根のことです。トタンは錆が発生しやすく、かつ短期間で拡大する傾向があるため、7~8年に1回くらいの頻度で錆止めの塗り直しが必要になります。
なお、近年はトタン屋根の代わりにガルバリウム鋼板やSGLといった錆びにくい金属屋根材が広く用いられていますが、これらの屋根材も絶対に錆びないというわけではありません。トタン屋根に比べると錆の発生リスクが低いのは確かですが、ガルバリウム鋼板やSGLであっても錆止めによるメンテナンスは必要とされています。
一方、金属以外の屋根材(スレートや瓦)なら錆止めは不要ですが、スレート屋根や瓦屋根の金属部分(板金)には錆止めが必要です。屋根板金には、屋根の一番上に使われる棟板金、屋根の谷部分をカバーする谷樋板金、屋根と外壁の隙間から雨風が侵入するのを防ぐ水切り板金などがあります。
いずれも風雨にさらされたり、雨水が溜まりやすかったりする部位で、長年放っておくと錆が発生しやすくなるため、錆止めを使った定期的なメンテナンスが必要となります。
種類別!屋根塗装に用いられる錆止め塗料の特徴
屋根塗装に用いられる錆止め塗料の種類は、大きく分けて油性系、エポキシ樹脂系の2つに区分されます。このうち、油性系はさらに1種と2種(合成樹脂系)に、エポキシ樹脂系は溶剤系と水性系の2つにそれぞれ分かれています。
それぞれ特徴が異なるので、錆止め塗料を用いる際はしっかり比較し、ニーズに適したものを選びましょう。
ここでは屋根塗装に用いられる錆止め塗料の主な種類とその特徴をまとめました。
油性系(1種)
酸化する際に乾いて固まる乾性油を主成分とした錆止めです。昔から屋根塗装に用いられてきた実績があり、乾くと厚みのある被膜を形成できることから、高い防錆性を発揮します。
ただ、乾くまでに多少時間がかかり、夏場は3~4時間、気温の低い冬場だと6~8時間ほど要するところがネックです。
油性系(2種 合成樹脂)
ウレタンやアクリルといった合成樹脂を主成分とした錆止めです。同じ油性系でも、1種に比べて乾きが早く、かつ紫外線に強いという特徴があります。
ただ、防錆性については1種よりもやや低い傾向にあります。
エポキシ樹脂系
加熱することによって硬化するエポキシ樹脂に、防錆作用のある顔料を配合した錆止めです。密着性、耐久性、防錆性を備えた多機能な錆止めであることから、近年は油性系よりもシェアを伸ばしています。
また、薬品や水にも強いことから、屋根塗装に適した錆止めとして多用されています。
一方で、紫外線に弱く、長期間にわたって紫外線を浴び続けると色あせや塗膜の剥がれを引き起こす可能性があるのがデメリットです。そのため、エポキシ樹脂系を錆止めとして使用する場合は、紫外線に強いフッ素系トップコートなどで表面を守る必要があります。
なお、エポキシ樹脂系には溶剤系と水性系の2種類があり、前者は希釈剤にシンナーを用い、後者は水を用います。
溶剤系
溶剤の一種であるシンナーで希釈するタイプの錆止めです。
シンナーの溶解度の強さによって強溶剤と弱溶剤の2タイプに分かれており、前者は密着性や耐候性に優れているといった利点はあるものの、刺激臭を伴うことや、既存の塗膜を剥離させてしまうリスクがあるところが難点です。
一方の弱溶剤は、密着性や耐候性が高い上に、強溶剤に比べると刺激臭が少ないというメリットがあります。ただ、塗料の乾きが遅く、かつ飛散しやすいことから、周囲への飛び散りに注意する必要があります。
水性系
水で希釈して使用する錆止めです。乾燥しても水分が蒸発するだけなので臭いが少なく、かつ人や環境に有害な物質を出さないところが利点です。
かつては溶剤系に比べて密着性や耐候性が劣ると言われていましたが、近年の水性塗料は性能が向上しているため、溶剤系との差は少なくなってきています。
屋根塗装を依頼するときの注意点
屋根塗装を業者に依頼するときに気を付けたいポイントを7つご紹介します。
色選びは慎重に
屋根塗装に使われる塗料のカラーバリエーションは多岐にわたり、施主が自由に選択することができます。基本的には好みや外壁との相性に合わせて選ぶことになりますが、色見本でチェックしたときの印象と、実際に塗ったときの印象は大きく異なります。
イメージ通りに仕上がらなかった場合は一から塗り直しするしかなく、時間とコストが倍増してしまうので、屋根塗装の色選びは慎重に行いましょう。
具体的には、業者に対して屋根塗装のイメージをしっかり伝える、PC上でカラーシミュレーションをしてもらうなどの工夫を採り入れると、理想の屋根塗装を実現しやすくなります。業者によっては試し塗りしてくれる場合もあるので、事前に問い合わせてみるとよいでしょう。
屋根塗装の時期
屋根塗装は天候や気温に左右されやすい作業です。特に、雨の影響で塗料が乾きづらくなる梅雨や、塗料が硬化して伸びにくくなる冬場は工期が延びたり塗りムラができたりしやすいので、避けた方が無難です。
何らかの理由で塗装を急ぐ必要がある場合は別ですが、そうでない場合は春や秋など、天候や気温の影響を受けにくい季節を選んだ方がよいでしょう。
下地の状態をチェック
いくら性能の良い塗料を用いても、屋根の下地自体が劣化していたら、塗装の効果が半減してしまいます。
その場合、塗装をする前に下地の補修が必要になるので、修繕前の点検も含めて屋根の状態をしっかり調べてくれる業者を選定することが大切です。
塗装の回数
屋根塗装の塗り工程は、下塗り・中塗り・上塗りの3段階です。
最初に行う下塗りは、いわば基盤を作る工程で、下地と塗膜の密着性を高める役割を担っています。次に行う中塗りは、塗膜に十分な厚みを持たせ、かつ上塗り剤との密着性を高める役割があります。最後の上塗りは、中塗りと同じく塗膜に厚みを持たせるとともに、美しい外観を形成するのがが目的です。
このように、下塗り・中塗り・上塗りはそれぞれ異なる役割を持っているため、屋根塗装では3回塗りが基本となっています。
ただ、悪質な業者に依頼すると下塗りや中塗りを省略されるといった手抜き工事が行われることがあります。そのため、屋根塗装を依頼するときはきちんと3回塗りを行うかどうか、事前に確認しておくことが大切です。
屋根塗装の相場をチェック
屋根塗装の費用について、相場よりも大幅に安い金額を提示してくる業者は、施工が完了してから追加料と称して法外な料金を請求してくる可能性があります。悪徳業者かどうか見極めるためにも、屋根塗装を依頼する際はあらかじめ適正な価格相場をチェックしておきましょう。
屋根塗装にかかる費用は使用する塗料の種類や塗装面積などによって異なりますが、一般的な2階建て住宅(塗装面積50~80㎡)の場合、足場代込みで40~60万円程度が相場とされています。
見積もりをチェック
リフォーム業者に屋根塗装を相談すると、ヒアリングや現地調査を行った上で見積もりが提示されます。見積もりではつい金額ばかり注目してしまいがちですが、注意したいのは施工の名称と摘要欄です。
特に、工事の内容や使用する塗料について明記されておらず、「屋根塗装工事一式」などと記載されている場合は注意が必要です。塗料の価格を水増しされたり、塗る回数が3回より少なかったりしても気付けない可能性があります。
そのため、見積もりを提示されたら、作業工程や、工程ごとの価格がきちんと明記されているか、塗装面積が平米数で記載されているか、使用する塗料のメーカーや商品名が明示されているか、などを細かくチェックしましょう。
もしわからないこと、疑問に思うことがあれば、その都度業者に問い合わせることも大切です。その際、答えを濁されたり、誠実な回答を得られなかったりした場合は、業者の見直しを検討することをおすすめします。
施工業者の実績をチェック
屋根塗装を請け負っている業者は複数ありますが、工事実績は業者によって大きく異なります。実績が豊富な業者ほど、屋根塗装や下地の点検・補修のノウハウに長けているので、個々の状況に適した塗装工事の提案をしてくれます。
施工業者の実績はホームページなどに掲載されていることが多いので、業者を検討する際の比較材料にしてみましょう。
以上が屋根塗装を依頼する際に注意したいポイントですが、特に重視したいのが業者選びに関することです。誠実な業者に相談すれば、色選びや塗装の時期に関して適切なアドバイスをもらえますし、下地の点検や補修、塗りの回数、価格、見積もり内容についても信頼できます。そのため、屋根塗装を依頼する業者の下調べは慎重に行うようにしましょう。
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屋根塗装と一緒に行うことが望ましい外壁塗装や、その他リフォーム工事も請け負っていますので、屋根のメンテナンスをお考えの方はぜひちば住宅コープまでお気軽にご相談ください。