塗装時に養生すべき場所は？必要性や注意点を紹介
屋根や外壁の塗装を行う際は、事前準備として養生を行う必要があります。養生を行わないと仕上がりが悪くなったり、近隣トラブルに発展したりするリスクがあるため、十分な注意が必要です。
今回は屋根や外壁を塗装する際に養生が必要な理由や、養生すべき場所、養生に使用する道具の種類、養生に関する注意点をわかりやすく解説します。
目次
塗装するときは養生が重要
屋根や外壁塗装の際に行われる養生とは、ネットやシートなどを用いて、塗料を付着させたくない場所を保護することです。養生は足場の組立や高圧洗浄による清掃、下地処理などを終えた後に行い、全ての塗装作業が完了するまで取り除かれることはありません。
では、なぜ塗装時に養生が必須なのか、その理由は大きく分けて3つあります。
仕上がりを良くする
屋根や外壁塗装の仕上がりを良くするためには、塗料を塗る場所と、塗らない場所をはっきり区分する必要があります。窓の表面やサッシにまで塗料を付けてしまったり、ツートンカラーの外壁の境目に塗料がはみ出たりすると家の外観が損なわれてしまうからです。
あらかじめ養生をしておけば、塗料のはみ出しをしっかり防ぐことができるため、仕上がりがぐんと美しくなります。
周辺の設備や物を保護できる
家の周辺には、ポストやエアコンの室外機、電気メーターやガスメーターといった住宅設備の他、花壇や植木鉢、自動車など、さまざまなものが置かれています。こうした設備・物に塗料が飛散すると、景観が悪くなったり、場合によっては不具合や不調が起こったりする原因になります。
事前にしっかり養生をしておけば、周辺の設備や物の汚染を保護することが可能です。
近隣トラブルの防止
屋根や外壁塗装に使われる塗料は乾くまでは液状になっているため、強い風が吹いたりすると隣近所の家まで飛散するおそれがあります。塗料は一度付着するとなかなか落ちないため、もし隣近所の家や設備、物などに塗料が飛散した場合、思わぬトラブルに発展することも考えられるため、注意が必要です。
また、屋根や外壁塗装では事前に高圧洗浄機を用いた清掃を行いますが、屋根や外壁に噴射した水が跳ね返り、隣近所の敷地内を濡らしてしまうこともあります。
事前の養生をきちんと行っておけば、隣近所にまで汚水や塗料が飛び散る心配がなく、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
塗装時の養生に使われる道具
屋根・外壁塗装の養生に用いられる道具は複数あり、養生する場所や目的に応じて使い分けられます。ここでは養生に使われる主な道具を紹介します。
飛散防止ネット
家全体を囲うように覆うメッシュシートです。固定用の結束ひもが付いており、足場にくくりつけて張る仕組みになっています。隙間ができないようしっかり張れば、高圧洗浄による水の飛散や、塗料の飛び散りなどを防ぐことが可能です。
一方、通気性の良いメッシュ仕様になっているため、家全体を覆っても高温多湿になる心配はなく、塗料も問題なく乾かせます。
ポリシート
合成樹脂の一種であるポリエチレンで作られたシートです。ポリエチレンは水や油、薬品などに強く、かつ柔らかい性質を持っているため、周辺設備や物の保護に適しています。
また、ポリシートはハサミやカッターなどでカットして使えるため、保護したいものの大きさに合わせて養生できるところが特徴です。
マスキングテープ
マスキングテープは、別名養生テープとも呼ばれている保護用の粘着テープです。単体でさまざまな場所に貼り付けられるため、前述したポリシートの固定に使われるほか、外壁の目地部分などに直接貼って塗料のはみ出しを防止する場合にも用いられます。
後で剥がすことを前提としているため、粘着力が弱く、屋根や外壁に跡が残りにくいところが特徴です。
ベトナムシート
ベトナムシートとは、布製の養生シートのことです。ポリシートが使い捨てであるのに対し、ベトナムシートは繰り返し使えるところが利点です。
ブルーシート
ブルーシートとは、ポリエチレンなどの合成樹脂繊維をシート状に織ったものです。防水・撥水性に優れていることから、高圧洗浄機の水はね防止や塗料の飛散防止に用いられます。
また、メッシュ仕様ではないので穴をすり抜けて水や塗料が飛び散る心配がなく、飛散防止ネットよりも高い保護効果を期待できます。
ただ、通気性がないぶん、内部に熱や湿気がこもりやすいため、家全体というより部分的な保護に用いられるのが一般的です。
マスカー
マスカーとは、ポリシートとマスキングテープを一体化したものです。マスキングテープを貼るのと同時に、シートも張ることができるため、シートとテープを単体で使うよりも作業効率がアップします。
外壁塗装や屋根塗装の際に養生すべき場所
外壁や屋根を塗装する際に養生するべき主な場所を7つご紹介します。
家全体
屋根・外壁塗装を行うにあたって、最初に養生する場所です。足場を架けるときに飛散防止ネットを張り、足場を解体するときに一緒に外すので、特に長く養生する場所です。
玄関周り
外壁塗装を行う場合、玄関の扉やポーチを養生シートやマスキングテープなどで保護します。
なお、ポーチは歩いたときに滑らないよう、ノンスリップシートが多用されます。
窓周り
窓ガラスや窓のサッシなどは塗装時に特に塗料が付きやすいため、念入りな養生が必要な場所です。養生には、ポリシートとマスキングテープを組み合わせるか、マスカーなどを使用します。
なお、窓ガラスを養生する際は採光を妨げないよう、透明なシートやテープを使用する必要があります。
エアコンの室外機やガス給湯器など
エアコンの室外機やガス給湯器などは家の外壁に沿って設置されているため、塗料や洗浄時の汚水の飛散を受けやすい設備です。内部にまで塗料や水が入り込んだ場合、故障や不具合の原因になる可能性もあるため、養生シートなどでしっかり保護します。
なお、エアコンについては養生の際に専用のカバーを使用すれば吹き出し口を塞がずに済むため、業者と相談して専用カバーを使用するかどうか決めるとよいでしょう。
郵便ポストや表札など
外壁に郵便ポストや表札などが取り付けられている場合は養生が必要です。ポストを養生する際は、全体をカバーしつつ、投函口や取り出し口が開閉できるよう配慮する必要があります。
一方、表札も文字がはっきり識別できるよう、養生の仕方やシートの色などに注意する必要があります。
自動車
自宅に自動車がある場合は、車全体の養生を施します。自動車専用の養生カバーを使用すれば、車一台を丸ごと保護することが可能です。専用カバーは簡単に脱着できるので、塗装中でも気軽に車で移動することができます。
植木鉢・花壇
家の周辺やベランダ、バルコニーなどに植木鉢や花壇がある場合は、塗料が付かないようシートで養生します。植物の多くはデリケートなので、養生する際に花や茎が折れたり、葉が散ったりしないように、細心の注意を払う必要があります。
塗装時の養生に関する注意点
塗装時の養生について、気を付けるべきポイントを5つご紹介します。
1. 窓の開け閉めに注意
養生する際は窓全体を養生シートで覆い、マスキングテープなどで留めてしまうので、作業中は窓を自由に開け閉めできなくなります。
ただ、業者に依頼すれば、作業後に毎回養生を外してもらったり、少しだけ空気の入れ替えができるようにしてもらったりすることも可能であるため、事前に相談しておきましょう。
2. エアコン使用の可否をチェックする
塗装中にエアコンを使用できるか否かは、エアコン室外機の養生の仕方によって異なります。通気性のある専用カバーを使用するなどの対応を行えば塗装中でもエアコンを問題なく使用できますが、吹き出し口を塞いでしまう場合、養生を取り除くまでエアコンは使用できません。
特に夏場に塗装する際は、エアコンが使えないと生活が不便になる可能性があるため、あらかじめエアコン室外機の養生の仕方やエアコンの使用可否について業者に問い合わせておくとよいでしょう。
3. 植物の枯れに注意
屋根・外壁塗装中は家全体を飛散防止ネットで覆うため、内部に日光が入りにくくなります。さらに、塗料の付着防止のために花壇や植木鉢それぞれに養生を施すと、陽光を遮ってしまうことになります。
日が当たらない期間が長引くと、植物が萎れたり枯れたりする可能性があるため、住宅の敷地内でガーデニングを行っている人は何らかの対策を講じなければなりません。
例えば、移動可能な植木鉢やプランターであれば養生の必要がない庭に移動させる、業者に相談して植物の養生は短期間で済ませてもらうなどの工夫を採り入れれば、植物への影響を最小限に抑えられるでしょう。
4. 移動させたいものはあらかじめ動かしておく
たとえ塗装の邪魔になるものでも、自宅周辺にあるものを塗装業者が勝手に動かすことはできません。前述した植木鉢など、事前に動かしたいものがあれば養生する前に移動させておきましょう。
5. 養生をしっかり行ってくれる業者を選ぶ
養生の仕方や養生に使う道具は業者によって異なるため、仕上がりに差が出ることがあります。養生をしっかり行わない業者を選んでしまうと、外観が悪くなったり、設備や物に塗料がこびりついたり、近隣に迷惑をかけてトラブルに発展したりするリスクが高くなってしまいます。
屋根・外壁塗装業者を選ぶ基準は人それぞれ異なりますが、仕上がりの良さやトラブル防止を重視するのなら、丁寧に養生してくれる業者を選ぶことが大切です。
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