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屋根カバー工法のメリット・デメリットや施工手順を紹介

屋根カバー工法のメリット・デメリットや施工手順を紹介

屋根の経年劣化が進むと、防水効果の低下や退色などのトラブルが発生しやすくなります。

こうした問題を予防・解消するために用いられる工法の一つが屋根カバー工法です。屋根カバー工法には複数のメリットがある反面、いくつかのデメリットもあるので、屋根の経年劣化に対応する際は長所と短所の両方をよく理解してから検討しましょう。

今回は屋根カバー工法のメリット・デメリットと、屋根カバー工法の施工手順について詳しく解説します。

 

屋根カバー工法を採用するメリット

屋根の経年劣化への対策として、屋根カバー工法を採用するメリットは大きく分けて7つあります。

断熱性がアップする

屋根カバー工法では、既存の屋根材を残しつつ、その上から新しい屋根材を載せていきます。そのため、既存の屋根材を撤去してから新しい屋根材を載せる葺き替え工法に比べると、屋根に厚みが増すぶん、断熱効果を向上させることが可能です。

また、建物の断熱性が高まると、外気の影響を受けにくくなるため、夏は涼しく、冬は暖かく過ごしやすくなる他、冷暖房効率の向上による省エネ効果も期待できるでしょう。

遮音性が高まる

屋根カバー工法を用いると、屋根が二重構造になるため、雨音など外部の音が聞こえにくくなります。また、建物からの音も外に漏れにくくなるため、自宅で楽器を演奏する習慣がある方にとっても利点のある工法です。

防水性の向上

屋根カバー工法では、既存の屋根の上から新しい屋根材を載せる際、あらかじめルーフィングと呼ばれる防水紙を張る工程があります。

ルーフィングは下葺き材とも呼ばれるものです。雨水を軒先に流す役割を担っています。ルーフィングを既存屋根と重ねることでより防水効果が増すため、有効な雨漏り対策になります。

短期間で施工できる

葺き替え工法では、まず既存の屋根を撤去する作業からスタートしなければなりません。一方、屋根カバー工法は既存の屋根を残したまま新しい屋根材を葺くので、短期間で施工できるところが特徴です。

実際の工期は屋根の面積や勾配、そのときの天候などによって異なりますが、葺き替えには2週間程度の日数を要するのに対し、屋根カバー工法は7~10日間程度とされています。

工期が短くなれば、業者が出入りしたり、騒音が発せられたりする日数も少なくなるので、施工にともなうストレスの軽減につながります。

コスト削減

葺き替えの場合、撤去した既存の屋根材を回収・廃棄しなければならないぶん、処分費用がかさむ傾向にあります。一方、屋根カバー工法は既存の屋根を撤去しないので、処分費用を抑えることが可能です。

また、前述した工期短縮により、一日当たりの作業員の人件費も節約できるところも利点です。

建物を傷めるリスクが少ない

葺き替えの場合、既存の屋根材を剥がす際、下地材である野地板や、野地板を受ける垂木に余計な負荷が掛かってしまうことがあります。

構造材がダメージを受けると建物全体の寿命が縮まるおそれがあるため、既存の屋根を撤去する作業には細心の注意を払う必要があります。

しかし屋根カバー工法なら、既存の屋根を撤去する作業そのものが不要なので、構造材を傷めずに施工することが可能です。

結露防止

前述した野地板は、屋根材が風で飛ばされないよう固定する重要な役割を担っています。

野地板の上には下葺材を施工しますが、このとき、外気温が急速に低下すると、外気と野地板の裏面の温度差によって結露が発生してしまうことがあります。結露は、野地板やその周辺の構造材を腐食しやすくさせ、建物の寿命を縮める要因です。

屋根カバー工法にて断熱材入りの金属屋根を葺くと、断熱効果によって野地板の温度変化が緩和され、外気温との急激な温度差が生じにくくなるため、結露が発生しにくくなるといわれています。

屋根カバー工法を採用するデメリット

錆びた屋根

屋根カバー工法には複数のメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。知らずに施工してしまうと後悔する可能性があるので、注意すべき点もよく確認してから検討しましょう。

ここでは屋根カバー工法を採用するデメリットを4つご紹介します。

屋根が重くなる

屋根カバー工法では既存の屋根材の上から新しい屋根材を載せるので、葺き替えに比べると屋根の重量が増加します。屋根が重いと、地震で前後左右に建物が揺れた際、柱や土台に大きな負担が掛かりやすくなるとされています。これは屋根の重みにより建物の重心が高くなり、揺れの影響を受けやすくなるためです。

特に耐震性が不十分な住宅の場合、地震の揺れを受けたときに躯体が屋根の重さに耐えきれず、倒壊する危険性があります。

既存の屋根が傷んでいると施工できない場合がある

屋根カバー工法は既存の屋根材の上に新しい屋根材を載せるという性質上、元々あった屋根材の傷みが激しい場合は施工できない場合があります。もし傷みが激しい屋根材の上に施工した場合、新しい屋根材を支えきれず、雨漏りしたり倒壊したりする危険性があるからです。

屋根の耐用年数は素材によって異なりますが、一般的なスレート屋根の寿命は20~30年程度、トタン屋根だと10~20年程度とされています。

ただし、10年ごとに再塗装などのメンテナンスを行わないと寿命が短くなり、本来の耐用年数に到達する前に腐食や劣化が始まってしまうこともあります。長らくメンテナンスを放っておいた場合、屋根カバー工法を適用できる状態でなくなっている可能性があるので注意しましょう。

すべての屋根に施工できるわけではない

屋根カバー工法はすべての屋根に施工できるわけではなく、屋根材によっては施工できない場合があります。例えば瓦屋根のように表面が波打っている屋根材は、上から屋根材を被せて固定することができないため、施工することができません。

また、トタン屋根のような金属屋根の場合、野地板が錆び付いている可能性が高いことから、屋根カバー工法を行えないケースもしばしば見受けられます。

今後の修理・修繕費用が割高になりやすい

屋根カバー工法を行った後、いずれまた屋根の劣化が進んでしまった場合、二層になった既存の屋根材を剥がす作業が生じます。一層の屋根材を剥がすよりも、二層の屋根材を撤去する方が手間も時間も掛かる上、処分費用も増えることから、将来の修理・修繕費用がかさむ可能性があります。

屋根カバー工法自体の費用は葺き替えよりも抑えられますが、今後掛かる費用のことも考えておいた方がよいでしょう。

9ステップで屋根カバー工法の施工手順を紹介

屋根を工事する様子

屋根カバー工法を行う際の基本的な施工手順を9つのステップで説明します。

足場設置、養生

屋根カバー工法は職人が屋根に上がって施工する必要があるため、足場の設置が必須です。足場は軒先から50cmあたりのところに設置するため、50cmから先の外周にあるもの(プランターなど)はあらかじめ他の場所に移動しておきましょう。

また、施工の最中は金属片などが飛散する可能性があるので、足場と住宅を覆う形で養生シートも取り付けます。

なお、足場の設置に掛かる時間は、一般的な住宅であればおおよそ半日です。

棟板金と棟下地の撤去

屋根カバー工法では既存の屋根材の撤去は省きますが、屋根の頂点にある板金(棟板金)や、その下にある下地材(棟下地)の撤去は必要です。

棟板金や棟下地は鉄釘などで固定されているため、バールなどを使用して取り外します。

雪止め金具の切断

雪止め金具とは、その名のとおり、雪の落下を防ぐために取り付ける設備のことです。降雪量の大小にかかわらず、雪が降る地域では雪止め金具の設置が推奨されていますが、屋根の表面から飛び出す形で設置されているため、屋根カバー工法を行うときは撤去して平らな状態にする必要があります。

なお、雪止め金具は電動サンダーなどを使って切断・撤去します。

換気口を空ける

換気棟を取り付ける場合は、屋根上部に換気口を空けます。換気口からは温められた空気だけでなく、湿気も排出されるため、腐食防止や防虫効果も期待できます。

また、換気口を開けると断熱性もアップするため、一石二鳥です。

既存屋根の補修

既存屋根にひび割れなどがある場合はコーキングで補修します。下地となる既存屋根の状態が悪いと、屋根カバー工法の施工後に雨漏りなどが発生する原因となるので注意しましょう。

唐草の設置

唐草とは、屋根の外側を囲い込む水切り板金のことです。雨が降った際に軒先に流れる雨水を雨どいの方向へ誘導したり、軒先にある木材を雨水から保護したりする役割を担っています。

屋根カバー工法および葺き替えでは必ず唐草の設置が必要になります。

防水シートを敷く

既存の屋根材の上に防水シートを敷きます。防水シートは軒先から棟、つまり下から上に向かって張るのが基本です。上から下に向けて張るとつなぎ目に雨水が侵入する隙間ができてしまい、雨漏りの原因になるので注意が必要です。

なお、防水シートには複数の種類があり、それぞれ特徴や価格が異なります。リフォーム業者と相談しながら、予算やニーズなどに応じてシートを選ぶとよいでしょう。

屋根材の取り付け

新しい屋根材を防水シートの上に取り付けます。防水シート同様、下から上に施工していくのが基本です。

なお、雪止め金具を取り付ける場合は、屋根材を取り付けながら施工していくことになります。

棟下地と棟板金の設置

屋根材を張り終えたら、棟下地と棟板金を設置します。

以上が屋根カバー工法の基本的な流れです。

既存屋根の撤去などが不要な分、比較的短い工程で施工できますが、雑な工事を行うと雨漏りや結露などのトラブルが発生する要因となります。そのため、屋根カバー工法は信頼できる業者に依頼することが大切です。

ちば住宅コープでは、事務局が組合員に代わって業者の技術力や提案内容、見積もり内容などをチェックするサービスを実施しています。安心の価格設定、安全の直接業務契約、信頼のアフターケアを約束しているので、初めて屋根カバー工法を行う方でも安心です。

屋根カバー工法以外にも、屋根塗装や外壁塗装など、住まいに関するさまざまなサービスを提供しているので、屋根のメンテナンスをお考えの方はぜひちば住宅コープにご相談ください。

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